五臓と五情

鍼・灸では、

心の動きと内臓の機能活動とは、お互いに密接に結びつき影響しあっていると考えます。
内臓の働きで基本となるのは肝、心、脾、肺、腎の五臓です。
心の動きは、「怒る」「喜ぶ(笑う)」「思いわずらう(慮る)」「悲しむ(憂う)」「恐れる(驚く)」の五つに分け、五情と呼びます。


内臓の機能に異変が起きると、心の動きもその影響を受け、特有の感情となって現れます。
特定の臓器の変調は、特有の情動や精神状態を生じやすくさせる。
また、感情が激しく動けば関係しあう臓を傷つけて、その臓に病変を生じさせます。
心が不安定になると病気の原因になるということです。


精神状態に不安定さがあるときは「五情」のどれにあたるかを考え、どの内臓の変調と関係しているかをさぐり、また内臓の変調を知ることで、今どのような心の状態にあるかを推察します。
「心の病い」と「体の病い」を切り離さずに治療に生かすということです。


内臓をその機能の上から「肝」「心」「脾」「肺」「腎」の五臓と、胆」「小腸」「胃」「大腸」「膀胱」「三焦(さんしょう)」の六腑にわけます。
これに「心」を補佐するものとして「心包」を加え、六臓とも言います。
腑の中の「三焦」は具体的な器官ではなく、現代的に説明すれば臓腑に入らない内分泌、ホルモン作用、などの種々の生理機能と考えます。


五臓と密接に関係のあるもの(五臓の色体表)

五臓
五腑 小腸 大腸 膀胱
五臓を傷つける感情 喜(笑) 思(慮) 悲憂 恐・驚
精神の所属 意・智 魄気 精・志
五官の所属
病み易い場所 血脈 肌肉 皮毛
臓の精気が発現 面色
病人の声の所属 呼(よばわる) 笑(わらう) 歌(うたう) 哭(かなしみなく) 呻(うめく)
五臓を養う味 酸(すっぱい) 苦(にがい) 甘(あまい) 辛(からい) 鹹(しおからい)
五臓の嫌う外気 湿
五臓と関係する季節 長夏
季節の特徴
病人の肌色